取材上手なライターは、AI使いも上手なワケ
(ライター向け記事)
私の印象ですが、ライターさんの生成AIの活用状況は人それぞれです。取材執筆だけでなく、企画書や提案書を積極的に作成する人は課金して大いに活用していますし、生成AI使用禁止を謳うクライアントと密に取引きをする人はアカウントを持ちながらあまり活用できていません。仕事では使用しないが、プライベートで使用していると話す人もいます。文章の添削や記事の構成をするなど、ライティングのクオリティアップのためだけなのであれば無料使いで十分だと思います。
ほしい回答や、最適なアドバイスを生成AIから引き出すのであれば、プロンプトを工夫する必要があるというのは、生成AIを使ったことがある人ならば常識で、プロンプトのテンプレートもあるくらいです。
下の写真に写っている桜の本数を生成AIで出す場合、皆さんなら、どんなプロンプトを入力するでしょうか? 例えば、このようなプロンプトを入力したとします。
「この写真は、桜の名所、奈良県の吉野山にある吉水神社境内からの風景です。『一目千本』と言われる春の風景、この写真に写っている桜の本数を教えてください」
生成AIの回答です。
「大変美しい吉野山の景色ですね。吉水神社からの「一目千本」は、その名の通り一度に千本もの桜が目に入るとされる絶景ですが、この写真に写っている桜の正確な本数を数えることは、AIの画像解析でも非常に困難です。理由はいくつかあります。
密度の高さ: 桜が重なり合って咲いているため、一本ずつの境界線を判別することが物理的に不可能です。
距離と解像度: 遠くの山肌に見える淡いピンク色の広がりは、一本の大きな木なのか、複数の小さな木の集まりなのかを特定できません。
死角: 手前の杉などの常緑樹の陰に隠れている桜も多く存在します」
非常に的確な回答だと思います。しかし、これはほしい回答ではないですよね?

素直に納得してしまうと、そこで終わってしまう
「生成AIでも、この写真から桜の本数は特定できないんだ」と素直に納得してしまえば、それまでです。私は素直でないので、こんなふうに考えます。桜が重なり合っていたり、解像度の問題で遠くの桜が判別できないというのはよく理解できますが、私が知りたいのは数百本なのか、それとも「一目千本」という名のとおり1000本あるのか、おおよその数を知りたいのであって、正確な本数を知りたいわけではありません。そこで私は以下の内容をプロンプト入力しました。
「憶測でもいいので、手前の数えられる範囲の本数から全体を想像して、おおよその本数を算出してください」
生成AIの回答は以下です。
「正確なカウントは物理的に不可能ですが、写真に写っている範囲の面積と桜の密度から、論理的な推論に基づいて『概算(オーダーエスティメーション)』を試みてみます。計算のステップを以下のように組み立てました。
1. 視界の分割とサンプリングこの写真を大きく『手前(近景)』『中腹(中景)』『山脈全体(遠景)』の3層に分けて考えます。手前のエリア(写真下部):はっきりと枝が見える桜が約10〜15本ほど確認できます。中腹の斜面(中央の谷付近):緑の杉の間に点在するピンク色の塊を1グループ(数本〜10本単位)として数えると、このエリアだけで約150〜200本程度の個体が密集していると推測できます。奥の山肌(写真上部から右奥):ここが最も密度が高い『上千本』方面です。山一面がピンク色に染まっており、1ヘクタールあたりの標準的なヤマザクラの自生密度を当てはめると、目に見えている斜面全体で約500〜800本以上は存在しているはずです。
2. 理論的な計算吉野山の桜は、シロヤマザクラを中心に約3万本と言われています。この『一目千本』の画角に入っているのは、中千本から上千本にかけての主要な群生地です。結論としての推測値写真のフレーム外や、手前の大きな木に隠れている部分も含めて考えると、この一枚の景色の中にはおよそ1,000本から1,500本程度の桜が収まっていると推測するのが妥当ではないでしょうか。『一目千本』という言葉は、決して大げさな表現ではなく、計算上も『一度の視界の中に1,000本以上の個体が存在している』状態を物理的に捉えていると言えます。まさに『数える』という行為を無効化してしまうほどの圧倒的な生命力ですね。これだけの密度で桜が維持されているのは、長い歴史の中で守られてきた吉野ならではの特別な光景だと改めて感じます」
本質をとらえ、迫り、ひも解く。それが取材
いい雰囲気でインタビュー取材できる人、話のキャッチボールが上手い人、言うなればアナウンサーのような問いかけ、受け答えできるライターを要望される依頼者もいます。もちろん、雰囲気づくりが上手いことに越したことはありませんが、雰囲気がいいだけで話の本質に迫れない人や、深掘りした取材ができない人は、前述した「一目千本」の写真に写った桜の本数を生成AIから引き出せない人ではないでしょうか。
仕事柄、ライターさんの取材に同行することがあって、やり取りを聞いていると非常に浅い話をどんどん展開する人がいます。そんな場合、話を掘り下げるべきだろうポイントが来たら、横やりを入れることもあります。また重要な質問をしても、相手から的を射た回答が得られないときは、質問の仕方を変えたり、違う話をはさんで再び質問したりして、合点がいくまであきらめません。
今年、ライターとして大変過酷な修行をされた僧侶を取材しました。雑誌の対談記事やネットの対談動画に目を通し、その方の経歴をある程度頭に入れましたが、僧侶を目指した動機に正直共感できませんでした。対談記事や対談動画では「修行僧のドキュメンタリー番組を見て自分も僧侶を目指そうと決めた」とか「幼い時に亡くした父親が修験道の行者(山伏)をしていたから」とか、尤もらしいのですが、その過酷な修行をするにはあまりにも弱い動機のように感じてなりませんでした。
修行僧を目指した動機が記事の根幹になると考え、取材ではいろいろな角度から考察しながら、その動機に迫っていきました。その方の少年時代はコンプレックスの塊で、成人してもそのコンプレックスは大きくなるばかり。ある時、その思いが頂点に達し、居ても立っても居られず父親が縁のあった寺の門を叩くのです。「3年ほど修行して僧侶をやめるつもりでした」という言葉を引き出せた時は、「これだ!」と心の中でガッツポーズを取りました。
自分が取材上手だと言うつもりは毛頭ありません。目的意識を持って、それをひも解く。取材とは元来そういうものだと思います。取材をそうとらえる人は、自然と話を深掘りし、本質的な内容を引き出します。また取材対象者と話すと同じように、生成AIを使って思考の壁打ちをしたり、文章の添削をしたりする際は、自分のほしい回答を得られる内容を、気負うことなくプロンプトに入力していることでしょう。
【関連ブログ】
生成AI普及で浮き彫りになったライターの役割
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