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AIの提案を採用するか?主導権は常にライターにある

ウソとまでは言えないけれど、人々の気を引くために実像とは違う表現で人を惑わす商売人は大昔からいたことでしょう。最近では、ネットニュースの見出しがまさにその実例です。意図的に見出しを長くし、途中で切れていてインパクトを演出しているのをよく目にします。例えば、「朝ドラ教師役で遅咲きブレイク、北村守康がコンビニで万引き…」という衝撃的な見出しをクリックすると、「…万引き撲滅のため一日署長」というどうでもいい内容に、「知らんがな!」と思わず口を突いて出ます。

以前ファクトチェックに関するブログ記事を書きました。単なる事実確認ではなく、報道記事やSNS投稿、通説などの真偽を、主観を入れずにネット検索や電話などの問い合わせ確認をして検証する新たな概念で国際的なガイドラインも存在します。白黒をつけるのではなく、正確・不正確・根拠不明・虚偽など内容に応じてグラデーション的に判断し、その背景を浮き彫りにする、現代人に不可欠なスキルです。そこである通説をファクトチェックしました。現在日本一有名な僧侶であろう塩沼亮潤氏が「修験道1300年で2人目の大峯千日回峰行満行者」は事実かを検証しました。

結論から言うと、「修験道1300年で2人目の大峯千日回峰行満行者」この表現はミスリードだと判断しました。「2人目の大峯千日回峰行満行者」は事実なのですが、「修験道1300年で2人目」という表現は、大峯回峰行が1300年脈々と続いているような印象を与え、実際にそう思っている人が大半だと考えます。しかし大峯回峰行が行われるのは昭和になってからです。廃仏毀釈により明治以前の記録が無いからと言って、明治以前にはあったかも知れないと解釈するのはあまりにも都合が良すぎます。とは言うものの、この荒行(標高差1355m、往復48kmの山道を一日1往復する。それを1000日間)を満行するのは、人間業でなく、修行僧としての大変な栄誉であることには変わりません。

このファクトチェックの締めくくりとして、ミスリードではあるものの「修験道1300年で2人目」という数字のインパクトがあったからこそ、塩沼氏および大峯千日回峰行が有名になり、世間の関心を惹きつけたことを考えると、これはこれで良かったのかもしれないと記しました。その記事をAIで論理の破綻、矛盾、情報の誤りはないかを確認したところ、上記表現は、自分のくだしたファクトチェックに主観を入れ、情報のミスリードを良しとしており矛盾していると修正指示を受けました。

ファクトチェックの判断に主観を入れているのではなく、このミスリードの結果を自分なりに総括したのですが、AIには矛盾していると受け止められたようです。おそらく人間がチェックした場合、修正指示されるにせよ矛盾しているからという理由ではなく、塩沼氏をフォローしているようで書き手としての弱気な姿勢を指摘されるだろうと想像しました。AIと人間とでは思考のプロセスが違うので、時に思いもよらないアドバイスや指摘を受けたりすることがあります。私はAIを編集者と思い、AIを納得させるものを完成させました。

しかし後から「それで良かったのだろうか?」と思うようになりました。記事内容ではなく、筆者としての私の立場としてです。AIは本当の編集者でも仕事の依頼者でもありません。AIは記事作成を助けるツールに過ぎません。AIの指示のまま修正するのは、AIに自分が操られているように思い、一瞬恐くなりました。AIはあくまでもツールで、指摘を採用するかしないかの判断は、人間である自分(ライター)にあることを忘れてはならない。そう思わせてくれる出来事でした。

【関連ブログ】
ライターとして幅広い視点と深い洞察が加わる「ファクトチェック」https://www.writer.co.jp/factcheck/

☆↓ライターを探している担当者さま
https://www.writer.co.jp/writer-coordination/
☆↓仕事を探しているライターさま
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