AI時代に求められるライターとしての姿勢
(ライター向け記事)
生成AIの文章添削力には驚かされます。冠婚葬祭などの改まった場での言葉選びに迷う際、主旨を伝えてプロンプトを入力すれば、まさに求めていた「正解」を提案してくれます。ビジネスメールでも同様で、まさに敏腕秘書のようです。
しかし、生身の秘書と異なるのはそのプロセスです。人間が人生経験や場の空気を察する「身体性」に基づいて助言するのに対し、生成AIは膨大なデータから確率的に「もっともらしい」単語を組み合わせているに過ぎません。ルールや形式が重んじられる定型的な文章こそ、AIが最も得意とする領域です。
ライターとして活動していると、AIの活用において明確な境界線が見えてきます。一般論を整理し、最大公約数的な表現に落とし込む作業(=知識の補完)には極めて有効です。一方で、独自の視点や繊細なニュアンスを含む文章を添削させると、途端に筆者の意図が消え、平坦で無機質な回答が返ってくることがあります。
結論として、AIは「既知の論理」を整えることには長けていますが、筆者の主観に根ざした「未知の独創性」を汲み取ることは不得手です。この差は、単なる精度の問題ではなく、アウトプットに至るプロセスの根本的な違いに起因していると言えるでしょう。

関係構築で得た取材承諾
私事ですが、歴史的偉業を成し遂げた修験道の僧侶の取材記事が年明けにニュースサイトに掲載されました。取材承諾を得るのに約1年かかった、私にとって思い入れのある記事です。「過去の功績をあれこれ語るのは僧侶としての人生哲学にそぐわない」という理由で承諾いただけませんでしたが、その生き方への深い関心を電話で述べると「お会いするだけなら」と言ってもらい、後日住職を務める修行道場を訪れました。
それがご縁となって、修行した山へ私を連れて行ってくださり、そのお返しに私が大阪を案内して交流を深め、何かとお声かけいただくようになりました。どこの馬の骨かわからない私を好意的にとらえている様子がうかがえ、改めて取材依頼しようと考えましたが、それをしてしまうと築いた関係性が崩れてしまうようで言い出せずにいました。
そして、最初の取材依頼から1年が経とうとする昨年末に改めて取材依頼すると、あっさり承諾していただき、年明けに取材を行いました。原稿作成後、情報確認のために原稿をお送りした際は、常人には理解できない修行をされてきた方なのでどんな修正を要求されるか気が気ではありませんでしたが、意外にも修正はほとんどありませんでした。修正が入らないように当たり障りない内容や相手を持ち上げる書き方をしたつもりはありません。どちらかと言うと、読者に関心をもって読んでもらえるよう取材相手をリスペクトしつつ忖度しない本質的な内容を心がけました。関係性が構築できていたからこそ、筆者としての私の思いや意図を僧侶は汲んでくれたのだと考えます。
ライター憎けりゃ記事まで憎い
生成AIの文筆力は誰もが認めるところですが、ある面では人間より優れているものの、ある面では人間に太刀打ちできないということがご理解いただけたと思います。それゆえにAIが得意とする独自性のない一般論的な記事を書いていては、そのうちAIに仕事を奪われることは必至です。
AIは身体を持っておらず人間のように対面でインタビュー取材できない。インタビュー取材は人間の専売特許だ。そんな内容のブログ記事を以前に書きました。もし近い将来、人間と見分けのつかないAIを搭載したロボットが人間に交じって社会で活躍していたとしても、(記事作成のための)インタビュー取材をロボットがしている可能性は低いと考えます。
生成AIの発する言葉や執筆する文章は、膨大なデータから確率的に「もっともらしい」単語を組み合わせているに過ぎません。おそらくこのメカニズムは変わることがないでしょう。仮に技術革新をしても、人間と同じメカニズムで言葉を発したり、文章をしたためたりすることはおそらくないでしょう。
私たち人間が、生成AIに勝てる領域は人間らしい営みを土台とした取材・執筆です。前述した1年がかりで取材承諾を取りつけた僧侶の記事が、まさにその典型的な例だと言えます。
取材記事、コピー作成に関わらず、人物や組織に関して取材・執筆する場合、相手との信頼関係は欠かせません。それが築けるのは「人間対人間」だからです。仮定の話になりますが、AIロボットがインタビュアーで執筆者であれば前述の僧侶は取材を承諾しなかったでしょう。
取材される側は取材する相手を見て、話す内容を変えるものです。嫌悪感や不信感を抱く相手に対し素直に話すはずもありません。「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」ではありませんが、嫌悪感の抱く相手が書いた原稿は好意的に読めないというのが人情です。反対に信頼感を抱いてもらえれば、より深くより正直に話をしてくれますし、原稿に対しては好意的かつ寛容になってくれ、ひいてはライターとしてのポテンシャルを引き出してさえくれます。
誰もが生成AIを利用する時代だからこそ、取材相手やクライアント担当者とやり取りを通して信頼関係を築ける、人として信頼できるライターこそが選ばれていくでしょう。
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