ライターにとってメール作成は“原稿並み”に重要
ライターにとって、取材と執筆は最も重要な業務です。同様に時間の厳守も重要で、(仕事の)依頼者によっては時間厳守が最も優先順位が高く、いくら良い取材・執筆をしても、少しばかりルーズな対応をしたがために仕事の依頼が途絶えることもあります。
弊社事ですが、以下のようなことがありました。取材・執筆をそつなくこなし、時間厳守もしていたライターが、仕事終了後、そのライターをコーディネートした先の代理店から「今後そのライターを使わないでほしい」と連絡が入りました。原因は、なれなれしい口調でクライアントと会話していたから。それを電話で聞いた直後、私の頭の中は「?」でいっぱいになりました。私はそのライターさんをよく知っていて、常識ある誠実な方です。ちょっとした気の緩みで自分の立場を忘れて、フランクに話しかけてきたクライアントの人に合わせたのだと推測します。もちろんライターさんにはその件について伝えていないので、私の想像の域を越えませんが。
ライターを依頼者にコーディネート、仲介する立場上、依頼者のライターに対する率直な評価を下される機会もあります。明らかにライターの過失もありますが、依頼者側の手際の悪さがそもそもの原因のこともあり、弊社としてはそこをうやむやにせずニュートラルに正し、依頼者に貢献できるよう努めています。
ライターさんの中には、とてもいい仕事をしたと自覚があるのにその後、依頼が途絶え、なぜかと疑問を抱いたこともあるでしょう。仕事自体がなく依頼できないこともありますが、何かしら依頼したくない原因が自分にあったと考えるのが妥当です。これは決してネガティブ思考などではありません。思いもよらぬ、些細なことが原因で仕事依頼が途絶えることもあるのです。何気なく送ったメールがその原因になることもあります。
広告会社への売り込みメールはハードルが高い
ライターを広告会社や企業の広報担当などにコーディネートしている立場上、ライターさんからパートナー希望の問い合わせは定期的にあります。会社サイト内の問い合わせページを経由しての売り込みがほとんどで、メール文の内容やトーンは十人十色。大量の実績を送ってくる人もいれば、経歴や実績を示さず仕事を懇願する人もいます。ファーストアプローチのメールとしては最適で、書き過ぎず書きなさ過ぎず売り込み過ぎない、もう少し知りたいと思わせる絶妙なあんばい、そのメール文だけで「この人は仕事ができる」と思わせる戦略家もいます。
ライターとしての実績もさることながら、メールの書き方で、そのライターさんのライティングセンスや性格を推し量ることはあると思います。売り込みメールは、ライターとしてのファーストインプレッション(第一印象)となるのでとても重要。とは言うものの一般的にライターの売り込みメール自体、ハードルが高いと思います。常時ライターを募集しているWEBメディアなら比較的容易に取引きにつながることがありますが、薄利多売の仕事になりがちです。それなりに予算がつく企業案件を持つ広告会社は、ライターの必要性に迫られないとライターとやり取りしようとしてくれません。
弊社も広告会社に営業のメールを送ることがあるのですが、ほとんど返事は来ません。私のメールセンスの問題と言われれば返す言葉はありませんが、広告会社の性格として、上記したように必要に駆られて初めてライターを探し始めることが多いので、平時に売り込んでも高い割合で受け流されます。過去に営業メールをして返事が無かった広告会社からライターの相談を受けたことがあるのですが、まさに必要に駆られての弊社への問い合わせでした。
メールの書き方一つで簡単にクライアントを無くす
気遣いのないメールは、大きなマイナスイメージを相手に抱かせます。自分都合の一方的な内容は言語道断ですが、あまりにも淡泊な内容だと依頼者はコミュニケーションが取れているのか不安になってしまいます。何を伝えたいかよく分からない言葉足らずの内容もマイナスイメージを与えます。これは相手の頭の中を理解できていない、すなわち相手の知っている情報と知らない情報を論理的に考えて想像できていない証拠で、依頼者からすれば、そんなライターが読者目線の記事作成ができるのだろうかと疑問を抱きます。
また質問しているのに、その質問に対して妥当な回答がない、回答自体がないとこちらの指示に真摯に耳を傾けてくれないんじゃないかと、2度3度繰り返されると人間性を疑ってしまいます。また相手に反感を抱かす、プライドを傷つける内容や表現のメールはご法度です。さすがにそんなことはしないと、こちらにその意識はなくても相手がそう受け取ることもあるので仕事でのメール作成には大いに気を配る必要があります。恥ずかしながら私の実体験をお話しします。
生成AIの忠告に気づかず、新規客を逃す
今年の話です。仕事の問い合わせをもらい、詳細を伺いに先方のオフィスを訪れました。先方は弊社に仕事依頼をする気満々のようでした。弊社にとって新規の取引き先が増えるとともに定期的な仕事を得られる有難い話ですが、一つ気がかりなことがありました。担当者および会社自体が広報サービスを展開しながら、広報について知識と経験が浅いことが会話を通じて伝わってきたのです。弊社としては先方の指示に従えば仕事が成立するのですが、質の良い仕事を提供するには互いの知識や経験を共有しておいたほうが良いと思い、そのことを相手に伝えるためにどう話を切り出すべきか数日考えを巡らせました。
先方の広報サービスの経験が浅いと私が推測していること。その推測の根拠を挙げた内容を示し、そのことを正直に共有いただければ弊社としてもそれを前提に物事を考えられるので結果的に先方にとっても良いという旨のメール文を作成し、生成AIにこちらの意図と配慮が伝わるようにと何度かキャッチボールをして完成させ、メールを送信しました。結論を先に言うと、先方からメールの返信はありませんでした。
私としては送ったメールに対して先方が反論してくるか、あるいは「実はそうなんですよ。さすがですね」と腹を割ってくれるかのどちらかだと考えていました。前者なら相手に謝罪し、取引きしてもらえるように最善を尽くし、仕事を進めるうちに矛盾は出てくるだろうと考え、そのタイミングで今回の話をもう一度持ち出せばいいと考えました。最初から何も言わずに取引きを始める選択肢は私にはありませんでした。
メール送信後、数日返事がなく、気分を害されたのかと思い、そのことを生成AIに尋ねました。その場合どんな謝罪メール文を送ればいいかを尋ねると、「この新規取引きに固執しないのなら、連絡はしないほうがいい。先方としては、仕事を依頼している相手に自社の未熟さを指摘されるのは心外であり、指摘が真っ当であればあるほど返信はしにくい。先方はこのままやり取りが途絶えることを願っている。先方に配慮するなら、メールは送らずこれで終わりにしなさい」そんな内容の回答でした。
正直、生成AIの回答は意外でしかありませんでした。私としては、仕事のパートナーとして先方のサービスをより良くするつもりの意図だったのですが、先方担当者からすれば素人と揶揄されたと感じたのかも知れません。私は会社同士の話と考え、担当者個人の感情に配慮することなく、担当者を会社の一部ととらえていました。
先方にメールを送る前に、こちらの意図と配慮が伝わるように添削してくださいと生成AIと何度かキャッチボールをしたと上記しましたが、生成AIの添削は私の意図に反し、相手への指摘ではなく弊社の提案のようなニュアンスが含まれ、それでは弊社の業務(無償)が増えることになり、条件を自ら悪くしているようで気が進みませんでした。何度キャッチボールしてもそのニュアンスは修正されず、最後には「原文の表現を活用するように」とプロンプトに入れると、やっと納得できるメール文が示され、それを先方に送った次第です。生成AIは「その内容のメールを先方に送ってはダメ。相手のプライドを傷つける」と何度も私に忠告していたのだと後になって気づきました。
ライターの仕事は取材・執筆して良い原稿を納品することですが、本質的には依頼者から仕事の依頼をもらい、仕事を通して「一緒に仕事ができて良かった」「また一緒に仕事をしたい」と思ってもらうことです。この依頼者心理を無視すれば、私のように取引きの機会を失ったり一度の依頼で連絡が途絶えたりします。
【関連ブログ】
依頼者がライターに期待する本当のこと
https://www.writer.co.jp/hontou/
☆↓ライターを探している担当者さま
https://www.writer.co.jp/writer-coordination/
☆↓仕事を探しているライターさま
https://www.writer.co.jp/message1/
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