料理人との類似点からライターの未来を考察する
(ライター向け記事)
ライターの仕事は、よく料理人のそれに例えられます。取材は買い出し、情報の取捨選択および構想は下準備、執筆は調理。同じ食材を使用しても調理の仕方でまったく違う料理になったり、同じ料理でも調理する人によって見た目や味わいが異なったり、それと同じことが執筆にも言えます。インタビューの音源または資料を情報元に原稿作成する場合、同じ情報を提供し、同じ指示をしてもライターによって内容や雰囲気が異なるものが上がってきます。当然と言えば当然ですが、料理する人、書く人の個性が反映されるのです。
職業としても同様に例えることができます。書くこと、料理することは私たちの日常に欠かせません。そして書くことも料理することも、やろうと思えば誰もができます。それを代行するのが、プロの書き手でありプロの料理人です。
大昔はプロの書き手も料理人もいませんでした。そもそも誰もが書くということができるようになったのは明治以降です。料理する人は大昔からいましたが、職業としてではなく集団の中で役割分担的に誰かが担いました。権力者などの特権階級に仕えて、書くことを主たる業務とする人、料理することを主たる業務にする人は存在したと思いますが、生業とする人が一般化していくのは、料理人は江戸時代、書き手(記者)は明治以降です。
職業としての書き手、料理人が登場し、今では各国・各分野で多くの人々が活躍しています。職業としての書き手と料理人には、世間のニーズという観点で本質的なことが類似しています。生成AIによってライターという職業が消滅する。消滅しないまでも仕事が激減し、存在価値が失われると苦慮するライターの皆さまも多いと思いますが、料理人を見れば展望が開けます。

チェーン店の登場で料理人は消滅したか!?
わが国の外食文化は、江戸時代の屋台や料理茶屋にその源流を持ちます。明治の近代化とともに洋食店が登場し、戦前・戦後の混乱期を経て、高度経済成長期以降のサービス産業化によって、日本の豊かな食文化は一気に花開きました。
1970年の大阪万博を機に、ファストフードやファミリーレストランのチェーン店が全国に広まり、誰もが気軽に外食を楽しめる時代が到来しました。80年代のグルメブームを経て、現在、わが国の外食産業は実に多様化しており、世界中から食を求めて多くの外国人が日本を訪れます。
料理人にとってのファストフードやファミリーレストランのチェーン店の広まりが、ライターにとっての生成AIの普及に相当すると考えます。外食チェーン店が登場するまで飲食店には修業をした料理人が不可欠でした。チェーン店の画期的なところは、システマティックした作業で素人でも客相手に調理できるところです。ライターでない人間が、生成AIを用いてライターに依頼するような業務を担う構図と同じではないでしょうか。
飲食店のチェーン店が全国各地に増えだした当時、料理人たちは「黒船が来た。自分たちの仕事が奪われる」と思ったに違いありません。まさに今、ライターが生成AIに抱いている感情と同じです。実際、チェーン店に客を奪われ閉店した飲食店もあったでしょう。今もそのようなことは日常的に起こっているでしょう。かと言って、料理人という職業は消滅していません。「料理人がこの世から消える」とは、今では誰も思わないでしょう。
「安価」「安定」は、万能ではない
外食する場合、シチュエーションやその時どきの気分によって、チェーン店に行ったり、チェーン店でない人気店に行ったり、時には高級店にも足を運ぶこともあるかと思います。私も一人で外食する際はリーズナブルなチェーン店に行くことが多いですが、仕事関係者やお世話になっている人と食事をする際は、チェーン店でなく地元に密着した個店を選ぶことが多いです。チェーン店だと相手に対して失礼な気がするからで、このような心理はご理解いただけると思います。
会社規模によりますが、広報誌で社長がビジョンを発信する場合、ライターを起用せず生成AIで記事作成をすることは考えにくいです。自社制作による低コストをモットーとする会社であれば生成AIで記事作成するかもしれませんが(そもそもそのような会社は生成AIが登場する以前からライターを起用していません)、広告制作会社に発注しているならばライターを起用するはずです。ライターに話を引き出してもらい、それをプロの視点でまとめてもらうことを大いに期待し費用を投じます。
近未来、生身の人間と区別のつかない身体を持った生成AIが登場するかもしれません。何でもそつなくこなす、まさに“パーフェクトヒューマン”です。しかし“パーフェクト”ゆえ、ライターの代わりを務めることはできないと私は考えます。
定量化できない「人間味」こそ人類最大の武器
全国にある外食チェーン店の最大の特徴は、いつでもどこでも安定した味を楽しめるところです。統一されたレシピや食材で調理したり、セントラルキッチンで調理されたものが各店舗に配送されたりすることで腕の立つ料理人を雇うことなく自給で働くアルバイトだけで営業することが可能です。それゆえに安価で、食や健康にこだわらない人には好まれます。
しかし食や空間、雰囲気にこだわる人はチェーン店を好みません。こだわりの料理を出す老舗店や、発想豊かな料理人がいる店を求めます。季節や状況に合わせて食材や味わいを変化させながらも料理人の個性が際立ち、人間味を感じられます。
生成AIの受け答えは饒舌で、文章は非常にスマートです。心の琴線に触れる感動的な文章も提供してくれるので、人と同じような心を持っているのではと錯覚すらしますが、ネット上に存在する「既存の言語データ」を学習し、確率論的に次の単語を予測しているに過ぎません。人のように感動し、読者を感動させる記事を書いてやろうなどという意思は皆無です。「AI人間」と深い内容の話をすればするほど、人間味の無さに違和感を抱き、空虚な気持ちになっていくでしょう。それは文章にも反映されます。
人の意識や感情のメカニズムは解明されておらず神秘と言うほかありません。残念ながらと言うか、幸運にもAIはこの神秘を持ち合わせていません。おそらくこの先も手に入れることはできないでしょう。最高のスパイスは愛情と言われるように、私たち人間は無意識的に人間味を求めて、人間味ある行動するものなのです。
空腹を満たすだけならチェーン店で十分でしょう。一般論的な情報をまとめるならライターよりむしろ生成AIが最適でしょう。しかし人間味を感じられる美味しい料理を客に、すばらしい記事を読者に届けようとするなら、その道のプロフェッショナル(人間)に頼むほかありません。それゆえにプロの料理人と同様にプロの書き手がこの世から消えることはないのです。
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