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ライターの立ち位置

「プロのライター」と「文章が上手い素人」の違いは、前者は読者のために書き、後者は自分のために書くと、以前のブログにも記しました。今回は、その自らの持論を否定するようなことを言います。

もちろん、プロのライターは読者のために読者目線になって「この内容で読者は興味を持ってくれるだろうか?」「この構成、表現で伝わるだろうか?」あるいは「消費者の心に刺さるだろうか?」と自問自答しながら記事や広告コピーを推敲します。
しかし厳密に言えば、プロのライターは読者(または消費者)のために書いているのではなく、また書いてはいけません。

【関連ブログ】
プロとアマの違い
http://www.writer.co.jp/プロとアマの違い/

ライターは執筆依頼者のために記事を書く

雑誌や書籍、広告媒体でいうと、ライターと読者・消費者は直接繋がっていません。読者と繋がっているのは雑誌や書籍を発行している出版社の編集者であり、広告なら消費者と繋がっているのは企業であり、広告制作会社の(クリエイティブ)ディレクターです。ライターは、編集者やディレクターなどの作り手から依頼を受け、彼らの指示に基づいて取材や執筆をします。

なので、ライターは読者や消費者のためではなく編集者やディレクターなどの仕事発注者のために書いているといえますし、そうでなければならないと考えます。

作り手の指示を無視した原稿は、もはや仕事ではない

以前ある企業の社史の一部を書けるライターをコーディネートしてほしいと制作会社から依頼を受けました。渡された本3冊の、付箋が貼ってある範囲の情報だけを使ってまとめてほしいという依頼です。硬い文章を書けるベテランの男性を制作会社のディレクターさんは希望されたので、実績あるベテラン男性ライターをコーディネートしました。

インタビュー取材はなく、企業の担当者、制作ディレクターとの打ち合わせで、資料となる本3冊を渡され、細かい指示をもらって執筆するもので、その打ち合わせに私も同席しました。

弊社がライターの原稿をチェックすることは基本ありません(※入稿した原稿が悪かった場合、責任を持って修正したり、場合によってはライター交代したりします)が、経験が少ない人や、ライターにとって馴染みのない案件など諸々の事情で、先方に入稿する前に原稿を事前確認したほうが良いと感じた際は、せん越ながら確認をさせてもらい、場合によっては添削したり、修正を指示したりすることもあります。

その社史の案件は、本の情報に基づいてまとめるもので、そのベテラン男性ライターにとって難しいものではないと考え、ディレクターに入稿する前に弊社が原稿を確認するプロセスは考えませんでした。ただ、初めてコーディネートするライターさんだったので、ディレクターの指示を誤認していないかを確認するために、入稿の前日に弊社へ原稿を入れてもらいました。

さすが実績のあるベテランライターさんです。無味な社史の記事が、まるで歴史小説かのような起伏ある興味深い内容になっていました。先方から渡された本3冊以外に、ネットや図書館でいろいろと情報収集し、原稿に反映させたそうです。素晴らしいプロ意識と言いたいところですが、これは企業の要望、ディレクターの指示とは違います。それにこんなドラマチックな社史を見たことありません。そのことをライターに指摘すると、「指示どおりに書けば、退屈な記事になり誰も読みません。この原稿を出せば、御社の株も上がります」と逆に諭されました。

立場をわきまえないとクライアントを失う

私も若かったのでしょう。そのベテランライターをリスペクトするあまり、その意見を抑えることができず、先方が却下した場合は、その指示に従ってくださいと言うにとどまり、その原稿を先方に提出してもらいました。

案の定、その原稿は却下されました。困ったことに、ベテランライターはその指示に従がおうとせず収拾がつかなくなり、結局弊社の株は大下りしました。弊社は自ら制作会社に費用の減額を申し出ました。その対応が良かったのか、その後もお仕事をご依頼いただきました。

弊社はベテランライターに苦情を言いつつも、当初の費用を全額支払いました。ライターから返金の話があるかと思いましたが、ありません。もし仮に返金の話をもらったら、今後二度とこのようなこと(先方の指示を聞かず、自分の意向を通そうとする)をしないのを条件に全額を払うつもりでした。ライターさんから弊社に迷惑をかけたという謝罪の言葉はあったものの、その本気度を感じられず、またこの期に及んでディレクターの力不足を指摘するので、「この人は自分の立ち位置を理解していない」と考え、以降依頼しなくなり、疎遠になりました。

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